腰痛の原因は信頼関係にある?

ホームヘルパーのあるある話に「利用者と信頼関係がうまく築けないホームヘルパーは腰痛になりやすい」というものがあります。この理由は何だと思いますか。

答えは、利用者とホームヘルパーの物理的な距離にあります。例えば、あなたがあまり信頼していない人や知らない人に抱えられるような状況があったとして、あなたは相手にしっかりと身を寄せることができるでしょうか。信頼している人に抱えられる時に比べると、どうしてもわずかに相手から身体が離れるような気がしないでしょうか。ホームヘルパーと利用者の間に生じる距離はわずかであっても、テコの原理から介護者の腰にかかる負担はかなり大きくなり、それが腰痛の原因となるのです。

ホームヘルパーが利用者と信頼関係を築くには、利用者に対する声かけを丁寧に行うことが大切です。例えば、介護中、段差を越えるために車イスの前輪を上げた状態で、後輪のみで移動するような状態(ウィリー走行)にしなければならないことがあります。この時に「前輪を上げますね」というような声かけなく前輪を上げてしまうと利用者はとてもビックリして、そのホームヘルパーのことを信頼できないと感じてしまいます。次回からは前を上げようとしても、後ろに倒れることを恐れて、利用者が身体を前方に倒すようになり、テコの原理から車イスの前輪を上げる動作にとても力が必要になってしまいます。前に進みます、右に曲がりますなど、今から行う介護動作の声かけを利用者に対して丁寧に行いましょう。特に身体に触れる時には、「右手を支えますね」などの声かけをして、絶対に無言で触れることのないようにしましょう。ホームヘルパーの丁寧な声かけは利用者との信頼関係を築きます。